ドヤ顔と感情表現

シナリオ担当の、重金やからです。
ささいなコトなんですが、以前どういう顔が『ドヤ顔』かという事で、知り合いと意見の違いを感じたことがあります。
実際に『ドヤ顔』で検索しても、いろんな表情が出てきます。で、ドヤ顔って何だろう、というのがちょっと気になってました。
なので、いまさらですが典型的な『ドヤ顔』というものを、「表情分析」を使って少し掘り下げてみたいと思います。

表情分析というのは心理学の一分野で、人間の普遍的な表情と感情との関係を扱います。
簡単に言うと、人は特定の感情を感じている時どんな表情をするのか、という事です。
(感情は、『驚き・恐怖・嫌悪(軽蔑)・怒り・幸福・悲しみ』に分類されます)
そして、これらの感情と表情との関係が、表情分析の基礎になります。

で、とりあえず『ドヤ顔』で画像検索すると、いっぱい出てきます。

まず、このタイプを見てみます。

 

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これを見て、含まれる「感情」を探すと『軽蔑』があります。
具体的な特徴としては、

口:唇を閉じ、片側の口端を引き上げる。

が挙げられます。
この彼の場合は、それに追加して目元が少し笑ってますね。
「笑顔+軽蔑」というのは、ドヤ顔の典型の一つじゃないでしょうか。

で、次はこのタイプです。

 

doya2

 

この表情には、『嫌悪』の感情が含まれています。
嫌悪にはさまざまな表情の特徴がありますが、この顔に見られるのは、

頬:頬が持ち上げられ、目の下がたるむ。
口:上唇が引き上げられる。
鼻:鼻にシワがよる。(この場合は、わずかなたるみ程度)

といった頬・鼻周辺の特徴です。
当然、『嫌悪』が含まれるドヤ顔からはかなりの悪意を感じます。
「自然な」表情としてはマナー上の問題として避けられるため、ほぼ「意図的な」表情になります。
まあ、こんな顔をするのはこの人だけかもしれませんが(笑)。

さらに、上記の表情には強調としての「眉の隆起(眉が上がる)」も含まれています。

それを単体で表したタイプが、

 

doya3

 

これになります。

この特徴は、自然な感情から生ずる表情ではなく、本人の意図で行われます。
専門的には、こういったものを『表象(emblem)』と呼ぶそうです。「意図的な」ドヤ顔というのも、広い意味でのこの表象に含まれると考えられます。
表象としての「眉の隆起」が意味するものとして、「感嘆」または「話し言葉の強調」があり、ドヤ顔の場合は「!」といった感嘆符としての強調が感じられます。

一つの解釈としては、「どや!」という心の声を強調しているのかもしれません。

さらに、次は「ほほえみ」のタイプです。

 

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まさに笑顔という感じで、これには『幸福』の特徴があります。

目:下まぶたが少し持ち上がる、目尻にシワが生じる。
口:口端が後ろへ引かれる、あるいは引き上げられる。
頬:ほうれい線(頬のシワ)が生じ、頬が持ち上がる。

まあ、これはただ笑っているだけとも言えるので、広い意味でのドヤ顔ですね。

さらにあるのが、次のタイプ。

 

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これはもう見た目そのままで、『怒り』の特徴があります。

眉:下にさがって引き寄せられ、眉間にシワが生じる。
目:まぶたが緊張し、目は細められる。
口:叫ぶように開口している。

これも怒ってるだけと言えますが、それを表す前後関係、つまり『文脈』によってはドヤ顔と解釈されます。

で、以上に挙げた表情には『軽蔑』『嫌悪』『幸福』『怒り』(+表象としての『強調』)という感情(単体、あるいはその混合)が含まれています。
これらの感情が、ドヤ顔の大きな特徴といえるでしょう。
(表情分析で扱う感情には、この他に『驚き』『恐怖』『悲しみ』がありますが、さすがにこれはドヤ顔ではないようです)

とはいえ、こういった特徴だけでドヤ顔を判断できる訳でもなさそうです。
結局のところ、ドヤ顔のドヤ顔たる所以は、その『文脈』にあるのかもしれません。

意図的なドヤ顔は、すべて「表情の普遍性」の上に成り立つ『表象』であり、人間の非言語コミュニケーションの複雑さを示す、よい一例といえます。

 

 

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